第7話 「ピッチのゆとりが、国のゆとり」

 サッカーのJリーグが始まって10年が経過しました。Jリーグの百年構想では、ジュニア選手の育成指導が確立し、各年代の選手育成が継続性をもって行われます。これによってトップチームは実力が向上し、アジアカップやオリンピックでも好成績が残るようになって来ました。この間、全国で芝生のグラウンドが増えてきました。
 しかし、見た眼がきれいな芝生のピッチでも、よくよく見ると国の実力がわかります。スポーツ先進国ではピッチの外側にも芝生のスペースが大きくとってあります。特にタッチライン際の遊びが重要で、選手はライン際でも安心してスライディングしスリリングなプレイができるのです。日本では多目的競技場を作りますので、サッカーのピッチはぎりぎりにしか作れません。選手はライン際では思い切ったプレイを躊躇します。
 ピッチに作られたゆとりは、スポーツの本質を理解した人たちが、スポーツを楽しむために作ったものなのです。