第5話 「体の硬い子が増えてます」

 中学生のスポーツ選手が腰痛を訴えて来院したときに、考えられる疾患は腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症などが重要ですが、これらは比較的珍しいものです。むしろほとんどは筋・筋膜性腰痛症と呼ばれるものです。これは、腰を支える背中側の筋肉・筋膜の挫傷のよるものですが、その原因の大部分は体の硬さにあります。
 体力測定で体位前屈を計測しますが、床に手の届かない人が非常に多いのです。腰を支える筋肉は、背中側の背筋だけではなく、殿筋(お尻の筋肉)・大腿二頭筋(太ももの後ろ側)・腸腰筋(背骨の横から始まりお腹の中を下に走り股関節の前を通る)・腹筋・大腿四頭筋などがあります。椅子に腰掛けた姿勢では、腸腰筋・大腿二頭筋が固くなり、洋式の生活のためしゃがみこみがなくなり殿筋が固くなります。
 その結果、姿勢が悪くなり猫背と腰のそらしすぎがおこります。これが筋・筋膜性腰痛症の原因となるわけです。こんな子供たちには、腰痛体操を教えます。毎日続けると必ず腰痛は治ります。